マシンビジョンカメラのサプライヤ、トランスポート層IPコアで市場化までの時間を短縮
マシンビジョンカメラとシステムを設計するエンジニアの中核技術は、通常、サイズ、ウエイト、パワーバジェット、およびその他の要件を満たしながら、できる限り最良のイメージを提供するためにコアカメラ機能を構成するところにあります。しかし、カメラからホストにイメージを高まる速度でストリーミングするには、膨大な時間と労力を費やす必要があります。GigE Vision、USB3 Vision、およびCoaXPress (CXP) といった、ビジョントランスポート層の最新の規格は複雑であり進化し続けているため、経験豊かなプロトコルエンジニアが数か月に及んでインターフェイスの設計に取り組む必要があります。
最先端マシンビジョンカメラメーカーの多くは、ほかの機能とともにフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ (FPGA) への統合に対応したトランスポート層インターフェイスを知的財産 (IP) の形態で購入することで、この課題を解消しています。
AMETEK Vision Research: 米国ニュージャージー州を拠点とするAMETEK-Vision ResearchでS991 CoaXPress-over-Fiberプロジェクトのシステムエンジニアを務めるLee Denaro氏は、「弊社の次世代マシンビジョンカメラ設計をEuresys/Sensor to ImageのCoaXPress IPコアに適応させられただけでなく、新しいCXPoF Bridge IPコアを使用して新しいCoaXPress-over-Fiber(CXPoF)を実装するという作業を比較的迅速に進めることができた」と述べています。
CIS Corporation: 株式会社シーアイエス代表取締役社長の村岡祐輔氏は、「互換性のあるカメラを開発することで、新たに公開されたCoaXPress-over-Fiber国際規格をサポートできることを大変嬉しく思っている」とお話しいただきました。
カナダを拠点とするIO Industriesでセールスマネージャーを務めるAndrew Searle氏からは、「CoaXPressが提供する信頼のあるポイントツーポイント接続、決定的タイミング、および高スループットを犠牲にすることなく、より長いケーブルと加速化を必要としているアプリケーションが多数あることがわかった」とコメントいただいています。
また、韓国を拠点とするOzray(旧NIP)からは、業務執行取締役兼最高技術責任者を務めるKeith Ahn氏より、「IPコアを使用することで、市場化までの時間を短縮しながらより多くのカメラを開発することができる」とのお言葉をいただきました。
Crevis Co.: そして、韓国のCrevis Co. で代表取締役を務めるJune Hwang氏は、「IPコアを使用する最大のメリットは、以前に必要とされていた時間のわずか数分の1の時間で、信頼性の高い標準的な転送インターフェイスを作成することができるところにある」と述べています。
10年前に最も広く使用されていたマシンビジョン・トランスポート層インターフェイスは、Camera Linkでした。Camera Linkのストリーミング部は十分に定義されていましたが、制御パスが指定されていなかったため、各カメラは独自の構成プロトコルを実装し、その結果、カメラに完全対応するためにはホスト側でそれぞれを微調整する必要がありました。今日では、カメラとホストコンピュータの間のマシンビジョン通信はほとんど標準化されており、主にCXP、GigE、およびUSBインターフェイスを使用しています。新しいビジョン規格はより複雑で、必要なタイミングマージンは以前の世代に比べて小さくなっています。その上、規格そのものが進化し続けているため複雑化がさらに増し、規格の再確認や、時にはトランスポート層の実装をアップグレードすることが必要となっています。
マシンビジョン・トランスポート層IPコアの登場により、カメラとホスト間のインターフェイスの開発に必要な時間が短縮されました。たとえば、Euresysの傘下にある大手フレームグラバーサプライヤであるSensor to Image (S2I) は、最新のCXP、GigE Vision、およびUSB3 Visionインターフェイス規格を満たすIPコアを提供しています。これらのIPコアは、最新バージョンのインターフェイスレイヤに確実に準拠する一方で、カメラとホストの相互運用性を確保しています。
MIPI CSI-2センサーおよびCXPインターフェイスボードを装備したMVDK評価ボード
S2Iのビジョン規格IPコアソリューションは、採用率の高い多様なフレームグラバーや画像取り込みライブラリに対して完全に検証された実用的なリファレンスデザインとして、FPGA IPコアとともに提供されます。IPコアはコンパクトであるため、その他のビジョン機能を追加する余裕も十分に残されます。
これらは、Xilinx 7シリーズからUltrascale+シリーズまで、そしてIntel Cyclone/Arria 10との互換性を備えています。
CXPおよびIMX Pregiusインターフェイスボードを装備したXilinx Kintex 7評価ボード
CXPインターフェイスボードを装備したIntel Cyclone 10評価ボード
イメージセンサなどの外部ハードウェアとトランスポート層PHY間のインターフェイスで構成される最上部の設計は、IPコアが対応する最新のFPGAプラットフォームだけでなく、カスタムハードウェアに適応できるVHDLソースコードとして提供されます。
リファレンスデザインのビデオ取り込みモジュールは、テストパターンジェネレータを備えたカメラをシミュレートします。このモジュールはVHDLソースコードとして提供され、ユーザーがセンサーインターフェースとカメラデザインのピクセル処理ロジックに置き換えられるようになっています。FPGA内蔵CPU (MicroBlaze、NIOS、ARM)は、Vision規格IPコアでの非タイムクリティカルな制御およびコンフィギュレーションタスクに使用されます。このソフトウェアはC言語で書かれており、顧客が拡張することができます。
Euresys ヨーロッパ・中東地区 (EMEA) でセールス・サポート部門副社長を務めるJean Caron氏は、「マシンビジョン会社は、IPコアを再利用することで、サイズ、ウエイト、およびパワーバジェットの問題に対応する必要のあるハードウェアを完全に自由に使用しながら、どのようにして最良のイメージを得られるかという課題に専念することができる」と述べています。また、S2IでIPプロダクトスペシャリストを務めるMatthias Schaffland氏は、「CoaXPress、USB3 Vision、およびGigE Visionの委員会と緊密な協力により、EuresysのIPコアが規格の最新の変更内容に対応するようにしている」と話しています。S2Iは、最近、Sony Pregius Sub-LVDSイメージセンサへのインターフェイスを提供する、IMX Pregius IPコアを発表しました。また、主に組み込みビジョンシステムやモバイル端末で使用されるMIPIセンサへのインターフェイスも導入されています。S2Iは、幅広い製品ラインをかかえる会社向けのボリュームラインセンスと、製品ラインの少ない会社向けのシングルライセンスを提供しています。また、いずれのライセンス契約においても、トレーニングとサポートを提供しています。
AMETEK-Vision Researchは、画像の高解像度、ソフトウェアの性能、同社製品の信頼性と顧客への配慮と献身的な姿勢を誇りとしています。同社は、電子撮像関連製品にさらに高い解像度とフレーム速度を導入し、さらに強力で堅牢なソフトウェアを備えた「よりスマート」なカメラを開発することを目標としています。
CoaXPress標準のモジュール性と速度を活用するだけでなく、AMETEK-Vision Researchは、最新のS991高解像度・高速カメラへのCoaXPress-over-Fiberの実装について次のようにコメントしています。「この新しいCoaXPress標準の拡張機能を早期に採用し、EuresysとSensor to Imageのパートナーとして、素晴らしいエクスペリエンスを得ることができました。弊社の次世代マシンビジョンカメラ設計をEuresys/Sensor to ImageのCoaXPress IPコアに適応させられただけでなく、新しいCXPoF Bridge IPコアを使用して新しいCoaXPress-over-Fiber(CXPoF)を実装するという作業を比較的迅速に進めることができたのです。Euresysから積極的な技術サポートを得られたことも相まり、規格委員会とともに新しいアプローチの幅広い業界採用を促進することができました。新しいCoaxlinkQSFP+ CXPoFフレームグラバーとeGrabberソフトウェアを使用して、高性能マシンビジョンカメラと完全に一致するデュアルQSFP+実装を実現することができました。16本の同軸ケーブルを使ってセンサーの全帯域幅をホストPCに伝送するかわりに、ハードウェアを一切追加せずに、はるかに軽量で長い、たった2本の光ファイバーケーブルでこれを達成する―まさに合理化された実装と改善された動作パフォーマンスの融合の賜物です。」
IO Industries Inc. は、最先端のデジタルビデオ機器を設計しています。1991年以来、当社お客様に、あらゆる種類のデジタルビデオおプリケーションにおけるパフォーマンスと品質に優れたソリューションを提供することに焦点を当てています。 Andrew Searlesはこのことについてさらに、「弊社のRedwoodカメラファミリーに単一のQSFP+オプティカルインターフェースとCoaXPress-over-Fiberプロトコルを採用し、45MPおよび65MP CMOSセンサーをサポートするすることが、最新技術を求めるお客様に出したIO Industriesのタイムリーかつ最先端の答えだ」と説明しています。
Ozrayは、同社のPolluxとPaminaのエリアおよびラインスキャンカメラとDeneb熱探知カメラにIPコアを実装した、マシンビジョンカメラサプライヤです。Ahn氏は、CXPとGigEトランスポート層インターフェイスの社内開発は、IPを購入するよりも多大な資金を要するとし、「IPコアを購入することで、弊社は社内エンジニアリングリソースを画像処理と制御センサ機能にかなり専念できるようになった。大多数のリソースがカメラとホスト間のインターフェイスに注力していた頃には不可能な話だ」と述べています。さらに、「現在では、Camera LinkのみでなくCXPとGigEを追加提供して弊社のインターフェイス製品を拡大することによって、新しい市場に対応することができている。S2Iが提供するIPコアとサービスに100%満足している」と続けています。
Crevisは、マシンビジョンカメラと産業用コントローラの大手サプライヤです。Hwang氏は、過去、同社のエリアスキャンカメラ向けトランスポート層インターフェイスの内部転送ロジック、デバイスドライバー、およびTx/Rxライブラリの開発に、莫大なエンジニアリング人員を投入していたとし、「現在では、S2IからGigE、CXP、およびUSBインターフェイスのIPコアを購入しており、エンジニアはセンサインターフェイスとカメラ機能の開発に専念できている」と述べています。さらに、「S2Iはリファレンスデザイン、トレーニング、および技術サポートを提供している。このアプローチにより、信頼性の高い標準的な転送インターフェイスを過去にかかった時間の数分の一で開発することができるようになった。ほかの多くの部分を置き換えるIPコアをFPGAに取り入れることにより、弊社はサイズとカメラの製造費を削減することができた」と続けています。
SickのRanger 3 3Dストリーミングカメラは、大きな高さ範囲と高品質イメージを合わせて、1秒当たりより多くの3Dプロファイル数を提供しています。SICK IVP ABでソフトウェア3Dカメラの上級エキスパートを務めるMattias Johannesson氏は、「前世代のRanger 3は、自社のGigabit Ethernetインターフェイスを使って、規格通りでは得られない機能を提供していた」と話しています。さらに、「弊社が必要とする機能が規格に含まれると、それを採用したくはなるものの、社内で仕事を進めるために必要なエンジニアリングリソースを流用するのは避けたかった。S2Iは規格の延長に対応する新しいカスタムモジュールとともに、実用性が証明された標準的なIPコアを提供してくれた。実装プロセスでは、対面会議を数回持つなど、S2Iと非常に良いコミュニケーションをとることができた。弊社のエンジニアリングチームはイメージャーと信号処理装置に専念することができたため、最新のRanger 3バージョンを市場化するまでの時間は、社内でインターフェイスを開発するために必要としてきた時間から大幅に短縮することができた」と述べています。
さらに、「マシンビジョン会社はIPコアによってGigE Vision、USB3 Vision、およびCoaXPressの規格を使ってFPGAベースの製品を作れるようになる」とコメントしています。
スピーカー:
Jean Caron – Euresys EMEA地区営業&サポート部門副社長
Matthias Schaffland – Sensor to Image IPコア・カスタムデザインプロダクトスペシャリスト
AMETEK-Vision Research
IO Industries
Ozray
Crevis
Sick