CoaXPress-over-Fiberとは 

CoaXPress-over-Fiberは軽量ながら、既存のCoaXPress仕様の重要な拡張で、光ファイバを使った伝送をサポートしています。CoaXPress (CXP) は、高帯域幅コンピュータビジョンアプリケーションの事実上の標準です。この仕様の最新バージョンであるCoaXPress 2.0は、CXP-12の速度を、同軸銅ケーブルでの12.5 Gbps (毎秒ギガビット) リンクと指定しています。CoaXPressではリンクアグリゲーションは通例であるため、4つのCXP-12リンクを使えば、50 Gbpsの帯域幅 (12.5X4) は簡単に達成されます。CoaXPress仕様の管理はJIIA (日本インダストリアルイメージング協会: http://jiia.org/en/) が担当しています。CoaXPress-over-Fiberは、CoaXPress 2.0仕様へのアドオンという形態で設計されています。CoaXPressプロトコルを、そのまま変更せずに、光ファイバを含む標準のイーサネット接続で実行する手段を提供するものです。そのため、CoaXPress-over-Fiberはイーサネット用に設計された標準的なエレクトロニクス製品、コネクタ、およびケーブルを使用しますが、プロトコルはイーサネットやGigE Visionではなく、CoaXPressです。
EuresysおよびSensor to Imageは、2018年にCoaXPress-over-Fiberの開発とデモを開始しました。2020年の初め頃より、Euresysと、最大手ビジョンメーカーが集まるCoaXPress分科会は、JIIAにおいて、CoaXPress規格へのアドオンとしての仕様の審査に取り組んでいます。

 

イーサネット接続を使用するメリットは何ですか?

イーサネット接続を使用すれば、CoaXPress-over-Fiberで、イーサネット用に設計された標準的な低コスト設備 (コネクタやケーブル) を使用できるというメリットがあります。イーサネットはIEEE 802.3標準によって定義されています。これらの標準を活用するということは、CoaXPress-over-Fiberでも、さらに広帯域化を続けるイーサネットの進化を活用するということです。

 

光ファイバの使用に関するメリットとデメリットは何ですか?

メリット

  • 第一に、ファイバ接続には基本的に長さの制限がないため、ケーブルの長さに伴う問題がなくなったことです。
  • 光ファイバはより広い帯域幅を提供しています。現在の標準帯域幅は、ファイバ当たり10 Gbpsと25 Gbpsで、データセンターで広く使用されています。
  • 光ファイバには電気ノイズへの耐性があります。製造フロアや医療分野での応用に大きな優位性があります。
  •  光ファイバは、同等の銅ケーブルよりも軽量で小型であるため、航空機や車両など、このような特性が不可欠となる用途に適しています。
    デメリット
 

デメリット

「パワーオーバーファイバ」がありません。光ファイバ内の信号は光を使って伝送されるため、光ファイバで送電することは不可能です。カメラなどのデバイスには、別途、電力供給源が必要です。

 

カメラメーカーにとって、CoaXPress-over-Fiberにはどのような意味がありますか?

CoaXPress-over-FiberはCoaXPress規格のアドオンであるため、既存のCoaXPressカメラは、大々的な再開発や新しいプロトコルのテストを行うことなく、比較的簡単にCoaXPress-over-Fiberにアップグレードすることができます。
CoaXPressカメラに既に使用されているFPGAには、イーサネット標準をサポートするための機能が多数含まれています。IEEE規格の802.3 Clause 46に定義されている10 Gbps媒体独立インターフェース (XGMII) が10Gイーサネットの物理レイヤーへの主要アクセスです。このインターフェースの汎用的な特性により、CoaXPressからPCS/PMA イーサネットサブレイヤーへの信号送信をマッピングすることができます。XGMIIを使用することで、CoaXPressは、IEEE規格802.3の条項106に定義されている25 Gbps媒体独立インターフェース (25GMII) によるさらに高い帯域幅にも対応することができます。25GMIIは、論理的にはXGMIIに相当する一方で、それをさらに高速化したバージョンと言えます。
Euresys関連子会社であるSensor to Imageは、CXPからXGMIIへ、およびXGMIIからCXPへのIPコアをすでに評価目的で提供しています。
S2I-CXPoF.png
 

CoaXPress-over-Fiberの帯域幅は?

CoaXPress-over-Fiberの初期構成は、単一 QSFP+モジュールにおける4X10 Gbpsで、カメラ当たり40 Gbpsを達成できます。これは、4本の銅線同軸ケーブルでの4つのCXP-12リンクと同じ総帯域幅ではありますが、CoaXPress-over-Fiberであれば、4X25 Gbps (= たとえばQSFP28モジュールを使った100 Gbps) や4X50 Gbps (=QSFP56モジュールを使った200 Gbps) にアップグレードすることが明らかに可能です。
 
 
bandwith-cxp.png
 


エンドユーザーにとって、CoaXPress-over-Fiberにはどのような意味がありますか?

イーサネット接続を活用すれば、CoaXPress-over-Fiberで、イーサネット用に設計された標準的な低コスト設備 (コネクタやケーブル) を使用できるだけでなく、より高い帯域幅へと継続的に進化するイーサネットをそのまま利用できるというメリットがあります。エンドユーザーは、さらに高解像度のイメージング技術だけでなく、より高速な検査速度と信頼性に対する今後の需要にも製品が対応できることを期待できます。

 

CoaXPress-over-Fiberにはどのようなケーブルを使用できますか?ケーブルの最大長は? 

CoaXPress-over-Fiberの最も重要なメリットには、多数のメーカーがすでに多様な接続オプションを提供していることがあります。10 Gbpsの初期的なCoaXPress-over-Fiber接続オプションは、SFP+とQSFP+ (クワッド、またはSFP+の4倍) モジュールです。 
固定インターフェースと比較した場合のモジュールの利点は、用途で必要となる適切なトランシーバをポートに装備できる点にあります。多様なトランスミッターとレシーバーを利用できるため、ユーザーは、マルチモードまたはシングルモードファイバで必要な光リーチを提供する上で適したトランシーバを選択できます。
 
CoaxlinkQSFP-Module.png
AOC (アクティブ光ケーブル) トランシーバを装備したEuresys Coaxlink QSFP+
 

最初のオプションは、マルチモードファイバ用の40GBASE-SR4 QSFP+光トランシーバモジュールを使用しています。最大150メートルの光ファイバケーブルでMTP/MPOファイバコネクタを使用しています。このソリューションは、マシンビジョン用途に最適です。
 
 
150MFiberOpticCable.png

40GBASE-SR4 QSFP+ 850nm 150m MTP/MPO光トランシーバモジュール (MMF用)
MTP/MPOファイバコネクタ、最大150メートルの光ファイバケーブルを使用
 

2つ目のオプションは、シングルモードファイバ用の40GBASE-ER4 QSFP+ LC DOM光トランシーバモジュールを使用しています。最大40キロメートルの光ファイバケーブルでLCデュプレックスファイバコネクタを使用しています。このソリューションは、ビデオ転送用途などに適しています。
 
 
40kmFiberOpticCable.png

40GBASE-ER4 QSFP+ 1310nm 40km LC DOM光トランシーバモジュール (SMF用)
LCデュプレックスファイバコネクタ、最大40kmの光ファイバケーブルを使用

 
 
ブレイクアウトアクティブ光ケーブルも利用可能です。このケーブルには、片方に40G QSFP+トランシーバ(フレームグラバー用)、もう片方に4つの10G SFP+トランシーバ (4台のカメラ用) が備わっています。
このソリューションではさらに高速のオプションも利用できる状態であるため、将来的な需要にも対応可能です。SFP28イテレーションは、25 Gbpsの速度に対応できるように設計されています。QSFP28 (クワッドSFP28) 系統の場合は、最大100 Gbpsです。QSFP56は、2019年の時点ですでに標準化されており、主要ベンダーからすでに販売されている製品の最高速度は2倍の200 Gbpsになっています。安価なアダプタもあり、SFPトランシーバをQSFPポートに設置することができます。
 
 

私の用途でCoaXPress-over-Fiberを使用するメリットは何ですか?

  • 超高速データ/フレームレート
  • あらゆる長さ要件に対応する多数のアクセサリとケーブルオプション
  • 低CPUオーバーヘッド、低レイテンシー、ジッターの低い画像の取り込み
  • 最高のPC当たりのカメラ台数パフォーマンス
  • 非常に競争力のあるコストパフォーマンス比
  • JIIAとIEEEによる標準化による、業界での幅広い採用

 

CoaXPress-over-Fiberのジッターとレイテンシーは? 
従来のCoaXPressと比較した場合は? 

CoaXPress-over-FiberはCoaXPressプロトコルに基づくものであり、ジッターとレイテンシーに関すると、CoaXPressと同様に高いパフォーマンスを示します。その上、CoaXPress-over-FiberはCoaXPressに比べ、より高い転送速度をサポートしているため、ジッターとレイテンシーはさらに改善されるでしょう。

 

全般的に、CoaXPressとCoaXPress-over-Fiberは他のビジョンインターフェースとどのように比較されますか? 

CoaXPressは以下のユニークな組み合わせにより成功している規格です。
  • 高帯域幅
  • 低レイテンシー (トリガーレイテンシーを含む)
  • 高い安定性/信頼性
CoaXPress-over-FiberはCoaXPressであり、上記のメリットを維持するだけでなく、それらをさらに進展させます。

 

CoaXPressとCoaXPress-over-FiberはGigE Visionとどのように比較されますか?

 

画像転送帯域幅

CoaXPressとCoaXPress-over-Fiberは、リンクアグリゲーションを簡単にサポートすることができ、ほとんどのCoaXPressカメラでは、現在2つまたは4つのリンクを使用しています。同様に、CoaXPressフレームグラバーは、カード当たり1個から8個の接続を提供しています。CoaXPress-over-Fiberの初期構成は4X10 Gbpsで、合計40 Gbpsです (4つのCXP-12リンクと同じ総帯域幅)。8X10 Gbps 
= 80 Gbps、4X25 Gbps = 100 Gbps、4X50 Gbps = 200 Gbps に明らかにアップグレード可能です。
一方、GigE Visionによるリンクアグリゲーションは困難であり、ほとんどのGigE Visionカメラはリンクを1つしか使用しません。
 

画像取り込みの安定性

CoaXPressプロトコルのデータパケットはより単純に管理されます。フレームグラバーまたはインターフェースカードによって行われており、専用ハードウェアを使って、ホストCPUに負荷を与えることなく、低レイテンシーと安定した画像の取り込みを保証しています。
一方、GigE Visionアプリケーションの場合、ドライバーがデータパケットの管理を行う、標準的なネットワークインターフェースカード (NIC) を使用するため、ホストCPUに大きな負荷がかかります。
総合的に、CoaXPressは、ホストCPUに負荷をかけることなく、より安定した、信頼性の高い画像転送を実現しています。速度がさらに高速化するほど、この差がより顕著に現れます。

 

どのオペレーティングシステムをサポートしていますか?

CoaXPress-over-Fiberはオペレーティングシステムに依存していません。現在のところ、CoaXPressフレームグラバーは、Windows、Linux、macOS、および特殊な組み込みオペレーティングシステムをサポートしているため、CoaXPress-over-Fiberにもこれが適用されるでしょう。 

 

CoaXPress-over-FiberカメラはGenICam互換ソフトウェアと連携しますか? 

はい。CoaXPress-over-FiberはCoaXPressのアドオンであり、GenICamのサポートを必須としています。

 

CoaXPress-over-Fiber規格の現在の状況は?

2020年10月現在
EuresysおよびSensor to Imageは、2018年にCoaXPress-over-Fiberの開発とデモを開始しました。2020年の初め頃より、Euresysと、最大手ビジョンメーカーが集まるCoaXPress分科会は、JIIAにおいて、CoaXPress規格へのアドオンとしての仕様の審査に取り組んでいます。
最終的な仕様の公開は、数か月以内を予測しています。
一方、2020年1月に、JIIAより、CoaXPressの光ファイバコネクタオプションを詳しく説明した「Optical Interface Guideline for CoaXPress (CoaXPressの光インターフェースに関するガイドライン)」が公開されています。
 

CoaXPress-over-Fiber製品にはどのようなものがありますか?

  • 4つの双方向10 Gbpsリンクを提供するQSFP +ケージを備えたCoaXPress-over-Fiber PCIeフレームグラバー「Coaxlink QSFP+」は、Euresysよりカメラメーカーを対象に提供されています。
  • CoaXPress-over-Fiber Bridge IPコアは、Sensor to Image よりカメラメーカーを対象に提供されています。

Coaxlink QSFP+

 

4接続CoaXPress-over-Fiberフレームグラバー

概要
  • 40 Gbpsオプティカルモジュール対応QSFP+ポート (1)
  • カメラ帯域幅 5,000 MB/秒
  • PCIe3.0 (Gen3) x8バス: バス帯域幅 6,700 MB/秒
  • 機能が豊富なデジタル I/O ラインが20本
  • 多種多様なカメラコントロール機能
  • Memento Event Logging Tool
  • CustomLogic対応: お客様独自のFPGAロジック

比較 販売店